お前が安らげるのならば、今日も俺は珈琲を淹れよう。
「そら」
「かたじけない」
ドロロはたまに俺の淹れたコーヒーを飲んでいく。
その頻度は、例えば月に3度俺の下へ訪れるとするならば、そのうちの1度ほど。
最近気づいたことだが、そんな夜は決まって遅くまでのんびりしていく。
「今日は“用事”は無いのか」
「……今夜は静かで良い夜でござるなぁ」
コーヒーの香りを纏わせつつ、それを気にしない風で帰るドロロの背を見送るとき、
きまって妙な感傷をおぼえてしまうのは――、それは。
それは。
―― “独占欲” だとでも言うのか?
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