つい、ふらふらと引き寄せられてしまうんだ。この暖かい場所へ。
「ギロロ殿」
「ドロロか。……茶でも淹れるか?」
「いや、結構。気持ちだけ頂くでござる」

早朝。
朝一番の修行から戻ると。
ふ、と。日向家の庭から漂う香り。
今日は手合せの申し込みがきているから匂いの強いものには近づきたくなかったんだけど、
ついつい、いい香りにつられてしまった(それは彼を想起させる香りで)。
ギロロ君はコーヒー片手に火の具合を調節している。
お茶でも、と言ってくれたけど、僕が風上に降り立ったのを見て得心した様子だった。
声をかけてしまったこと――ギロロ君の心遣いを無下にしてしまうとわかっていながら、
声をかけずにいられなかった己の未熟さ――に、自嘲的な笑みが浮かぶ。
「申し訳ござらん」
「む。何。気にするな」
ああ。いつだってギロロ君はこうして優しい。
いつも僕はそれに甘えてしまう。昔も。今も。
軽く頭を振ってそんな考えを追い払い、そろそろ行くよ、と告げる。小雪殿の朝食の支度もあるし。
ギロロ君は、そうか、と言った。
「……来たいときにはいつでも来い。茶くらい、いつでも淹れてやるから」
…少しだけ訂正。
ギロロ君はいつだって優しくて、そして僕を甘やかしすぎる。昔も、今も。
「ギロロ殿」
「ドロロか。……茶でも淹れるか?」
「いや、結構。気持ちだけ頂くでござる」
早朝。
朝一番の修行から戻ると。
ふ、と。日向家の庭から漂う香り。
今日は手合せの申し込みがきているから匂いの強いものには近づきたくなかったんだけど、
ついつい、いい香りにつられてしまった(それは彼を想起させる香りで)。
ギロロ君はコーヒー片手に火の具合を調節している。
お茶でも、と言ってくれたけど、僕が風上に降り立ったのを見て得心した様子だった。
声をかけてしまったこと――ギロロ君の心遣いを無下にしてしまうとわかっていながら、
声をかけずにいられなかった己の未熟さ――に、自嘲的な笑みが浮かぶ。
「申し訳ござらん」
「む。何。気にするな」
ああ。いつだってギロロ君はこうして優しい。
いつも僕はそれに甘えてしまう。昔も。今も。
軽く頭を振ってそんな考えを追い払い、そろそろ行くよ、と告げる。小雪殿の朝食の支度もあるし。
ギロロ君は、そうか、と言った。
「……来たいときにはいつでも来い。茶くらい、いつでも淹れてやるから」
…少しだけ訂正。
ギロロ君はいつだって優しくて、そして僕を甘やかしすぎる。昔も、今も。
二人とも自覚無しの片思い一歩手前(双方向)。
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