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某蛙型侵略宇宙人についての萌え語り&日々のできごとをつれづれと書き記すためのブログ。文やら絵やら、好き放題。
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なんだかよくわからない話になりました。
一瞬? と思う感じですが、全然そんなことありません。
ほんと、どうしてこんなことに。笑。

とりあえずブログだと、ルビを振るとか傍点を付けるとかといった点で不自由がありますね。
色々と一段落ついたら、本格的にHPサイトの方を検討したいなぁ。

ぞくり
 
 

 ぞくり、とした。
 
 その視線の苛烈と言えるまでの鋭さ――表情は先程から少しも変わっていないというのに、その瞳の湛える色だけが先程と違っている――に体を震わせつつ、己の浮かべるいつものにやにや笑いが崩れていないことにクルルは安堵した。
 「……アサシンってのは、そうやって恐い顔で睨みながらオシゴトすんのかい?」
 椅子に深く沈み込むと、いつもどおり、相変わらずの人を食った態度で目の前の男を見下ろす。
 それが単なる虚栄であることは己が一番よく知っている。そして、単なる虚栄も貫き通せば立派に己のプライドと自信を基礎付ける足場を構成し得るものだということも。
 海千山千の古狸共を相手に幼い頃から軍の中枢部を渡り歩いてきたクルルにとって、それは深く身に染み込んだ経験則である。ハッタリ?上等だ。己の純粋な能力のみを頼んで歩く者に待ち受けているのは罠と転落、崩壊。そして哄笑。そんな世界で今日のこの日、この時まで生き抜いてきたのだ、己の本心を相手に悟られないようにする能力が相当高いレベルであるということは理解している。これは過大評価ではない。事実に基づく極めて正当な結論だ。
 だけどよぉ、と口中で呟く。
 殺気。恨み。憎しみ。嫌悪。
 威風堂々たる雰囲気や権威を伴うプレッシャー。
 今感じているコレはそのいずれとも違う。
 だけどよぉ。
 再び呟く。
 ここまではっきりと純粋な威圧感を出されんのは、初めてなんだよなァ。
 「……まさか」
 ぽつり、と青い男が漏らす。
 「アサシンは影なる行動が主でござる。殺気はもとより、気配は全て消し去って行動するが常」
 「へぇ。そんなあんたが威圧感全開で俺を睨み付けてるってのは、どういうこったい?」
 くく、と笑うと、ドロロのクルルを睨みつける瞳は一層険しさを増した。
 あくまで殺気ではない。
 しかし、ピリピリと肌が泡立つような感触をおぼえるほどの威圧感(プレッシャー)。
 あぁ、こりゃすげぇや。滅多に味わえるもんじゃないぜ。
 過剰な威圧感(プレッシャー)にさらされた時、感じるのは恐怖よりも陶酔。
 「あんたにそういう凄絶な表情で見つめられることができンなら。……あんたになら殺されてみるのもいいかもしれねェなぁ」
 つい口から零れたそれは、まぎれもない本音。
 「悪い冗談を」
 だが、そう言うとドロロは不快そうに目を細め、クルルから視線をはずす。
 それを残念に思っていることに気付き、クルルはひときわ楽しげに唇の端を吊り上げた。
 どういうワケだか知らねぇが、この兵長サンはやけに機嫌が悪いようだ。そして普段は到底仲間に対して向けないような顔をこの俺に見せてやがる。おもしろい。こいつがおもしろくなくて何がおもしろいってんだ。
 「……クルル殿が、」
 「あん?」
 ずんずんと深い思考にはまりそうだったところで急に名を呼ばれ、クルルは顔を上げる。
 ドロロはまだこちらを見ない。
 「クルル殿が進言したのでござろう」
 「何の話……、あ? アレのことか」
 「然様。先日の侵略作戦の“オプション”でござる」
 「あー……まぁ、そっスね。そういやあれは俺の発案だったっけか」
 言われて漸く思い出す。
 つい一昨日の、隊長の思いつきによる作戦で使用した“各種調味料自動混替銃(料理のさしすせそがナッテナイワ銃)”に、クルルは勝手に愉快なオプション――拘り、もしくは男のロマンとでも言うべきか――をつけていた。
 相変わらず仲間に対しては警戒の薄いアサシンの反対を(主に薬物のチカラにより)押し切って実行に移された本作戦も、毎度のことながら失敗。最終的には日向夏美による小隊へのお仕置きとともに終了した。銃はその際に木端微塵にされている。
 「その。クルル殿の発明は隊長殿の依頼品であることが多いことは承知の上でござるし。そもそも発明品という物は製作者の自由にされるべきであることも理解しているでござる。だからクルル殿に意見することはお門違いであること、心得てござるが、ただ、――――」
 「……ただ?」
 「ただ……いくらなんでも、その……ああいった道徳的にマズイものはいかがかと」
 ドロロは言いにくそうにほんのりと頬を染めつつ、それでも威圧感を維持したままクルルに目を戻して言った。
 随分器用な表情ができるもんだ。一瞬そんな場違いな感想を抱いたものの、その半瞬後にはドロロの言っていることを理解し、心底呆れてクルルは眉根を寄せた。
 「おいおい……あんた、ホントにアサシンかよ? アサシンならあれくらいのバキューンドキューン桃色桃色なことくらい日常茶飯事じゃねェのかよ」
 瞬間、ドロロの顔が真っ赤に染まった。
 「そっそれとこれとは別物でござる! 地球人の夏美殿や冬樹殿はまだまだ子どもでござるし、第一ケロロ小隊にだってまだシッポつきのタママ殿もいるでござろう、それをっ」
 「……学級委員長かよ」
 「世の中には教育的配慮とか、自主規制とか、そのための年齢制限というものが、……え? 学級……何?」
 「なんでもないっす。スッキリしただけっすから。あー。成程、成程」
 言うと、クルルはあっさりと椅子を回して“この話はこれまでだ”との意思表示を見せる。
 背後からクルル殿、と非難めいた声が聞こえるがヘッドホンを操作して外部の音をシャットアウト。
 そしてくくく、と陰湿な笑いをこぼす。
 なんだよ。
 呟く。
 あの凄まじい目。
 ヒトを脅すでもなく殺すでもなく、ただ相手を威圧し、従わせようとする目。
 何を意味するのか、どこで見たことがあるのか――ドロロと会話する最中もずっと考えていたことだが、わかれば単純なことだった。
 ――――ありゃ小訓練所によくいる、口やかましい学級委員長とそっくりだ。
 「……アサシンだから凄みが増していただけ、ってか。つーかそもそも威圧するつもりも無かったンだろうが――めんどくせぇ勘違いさせやがって」
 ついつい研究観察対象にするところだったっつーのに。下らねぇ。そんなお小言は隊長相手にやってもらえば十分だ。
 すっかりドロロに対する興味を無くして、クルルは自分の仕事に戻る事にした。
 まずは準備運動に、いつも通りケロン軍本部のハッキングからといくか。軽やかに手元のキーを叩いていく。
 そのリズムは会話を諦めたドロロがラボを出ていくまで崩れることはなかった。
 
 ただ、最後に。
 開いたドアが自動で閉まる、その一瞬。
 あの冷たく鋭利な視線に射抜かれた感覚を思い出し――一度だけ大きくにやり、と笑みが浮かんだことを、自分で愉快だと思った。
 
 一方、なぜか研究観察対象にされかけていたことを知ったドロロは、しばらく身の回りの警戒を厳重にしたという。
 それが厳重すぎたせいでケロロが死にかけ、ギロロが戦闘モードから、そしてタママが裏タママから戻れなくなりかけたことは、また別のお話。
 
 
 
 
 
(2011.09.01)
 
 
 
「鋭い視線に射抜かれる」
というフレーズからクルルとドロロが睨みあっている絵が浮かんできた小話。
どうしてこんなことに。笑。クルドロではないです。シリアスでもないです(見ればわかる)。ただ、ほんの一時、興味と関心の方向が双方向になった、それだけのことでしょう。
 
……普段は軍曹が、「この本はコドモも読んでんのヨッ!! 自重しろであります!」的なメタ発言で、クルルの発明をギリギリのところでおさえてくれているんだろうなぁ。

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